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ー解体工事は建物の構造で変わる!構造別解体工法の基礎知識ガイドー

解体工事と構造別解体工法の基本

解体工事はどの建物でも同じように壊しているように見えますが、実は木造か鉄骨造か鉄筋コンクリート造かといった構造によって、採用される解体工法が大きく変わります。同じ一軒家やビルでも、構造に合わない工法を選んでしまうと、工期が延びたり費用が無駄にかかったり、近隣トラブルにつながるリスクも高まります。そのため解体工事を検討する際には、構造別解体工法の違いを知っておくことが、業者選びや見積もり比較のうえでとても重要になります。ここでは「解体工事 構造別解体工法」をテーマに、初心者の方にもわかりやすくポイントを整理していきます。

構造別解体工法を知るメリット

構造別解体工法を理解しておくと、自分の建物にとって適切な工事内容かどうかを判断しやすくなります。見積書に記載されている工法の名前を見ても、何のためにその工法が選ばれているのかが想像できるようになり、不要な作業や過剰な費用を避けることにもつながります。また、騒音や振動、粉じんの出やすさも工法によって異なるため、近隣への配慮という意味でも構造別の特徴を押さえておくことは重要です。

木造建物の解体工法の特徴

戸建て住宅で多い木造建物は、解体工事の中でも比較的なじみのある構造です。木材が主な材料になるため壊しやすく、重機を使えば短期間での解体も可能ですが、古い住宅や密集地では慎重な作業が求められます。木造の解体工事では、大きく分けて人の手で壊していく方法と重機を中心に進める方法があり、現場の状況や周辺環境によって工法の組み合わせが変わってきます。

手こわし解体の流れとメリット

手こわし解体は、その名の通り職人が手作業で少しずつ壊していく工法です。まずは室内の建具や設備、内装材を外し、その後に屋根や外壁などを安全に取り外していきます。重機を入れにくい敷地や、隣家との距離が極端に近い場所、道路幅が狭いエリアなどでは、この手こわし解体が選ばれることが多くなります。
手作業は時間と手間がかかりますが、その分だけ騒音や振動を抑えやすく、倒壊の方向も細かくコントロールしやすいというメリットがあります。廃材の分別も丁寧に行えるため、再資源化しやすく、処分費用の削減につながる場合もあります。

重機解体の流れと注意点

敷地に十分なスペースがあり、周辺の安全が確保できる場合には、バックホーなどの重機による解体工事が一般的です。重機のアタッチメントで屋根から順に壊していき、倒した木材をその場で細かくして搬出していきます。作業スピードが速く、工期が短くなる点が大きなメリットですが、その分だけ騒音や振動も大きくなりやすいため、近隣への事前説明や養生シートの設置が欠かせません。
また、重機解体でも内部の設備や危険物の撤去は事前に人の手で行う必要があります。ガス管や配線が残ったまま解体してしまうと、思わぬ事故につながる可能性があるため、事前調査とライフラインの切り回しは木造解体でも重要なポイントです。

鉄骨造建物の解体工法のポイント

鉄骨造の建物は、柱や梁に鉄骨を使用しているため、木造よりも強度が高く、解体工事でも鉄骨特有の工法が必要になります。外観は同じような建物に見えても、構造によって切断の手順や重機の選び方が変わるため、鉄骨造の解体経験が豊富な業者に依頼することが安全性とコスト面の両方で重要になります。

ガス切断と重機を組み合わせた工法

鉄骨造の解体では、鉄骨部分をガス切断しながら、重機で支えたり吊り下げたりして安全に取り外していく工法がよく用いられます。あらかじめ建物の構造図を確認し、どの柱をどの順番で切断するのかを計画したうえで作業を進めることが求められます。
また、上層階から順番に解体していく際には、切断した鉄骨を落下させないようにチェーンブロックなどで仮固定しながら作業を行います。こうした段取りがしっかりしている業者ほど、安全性の高い解体工事が期待できます。

高所作業時の安全対策と近隣配慮

鉄骨造はビルや倉庫など高さのある建物も多く、高所作業が増える点が木造解体との大きな違いです。作業員の墜落防止はもちろん、切断した部材や工具の落下防止対策も必須になります。足場やネット養生をきちんと設置し、万が一部材が落下した場合にも道路や隣地に飛び出さないような計画が必要です。
さらに、ガス切断では火気を使用するため、火の粉による火災リスクにも注意が必要です。周辺に可燃物がないか、風向きは問題ないかなどを確認しながら作業を進めることが、鉄骨造の解体工事では特に求められます。

鉄筋コンクリート造の解体工法の特徴

マンションや大型ビルに多い鉄筋コンクリート造は、柱や梁、スラブなどがコンクリートと鉄筋で一体になっているため、最も解体が難しい構造のひとつと言われます。その分だけ構造別解体工法の中でも、騒音や振動、粉じん対策を重視した工法の検討が欠かせません。周辺に住宅や学校、病院などがあるケースでは、工法の選び方が近隣トラブルの有無に直結します。

圧砕機を使った一般的な解体工法

鉄筋コンクリート造の解体では、重機に取り付けた圧砕機と呼ばれるアタッチメントで、コンクリート部分を挟み込んで砕きながら壊していく工法が一般的です。コンクリートを砕きつつ内部の鉄筋を露出させ、切断して分別することで、廃材のリサイクル率を高めることもできます。
ただし、圧砕機はどうしても音と振動が大きくなりやすいため、作業時間を日中に限定したり、防音シートを多重に張るなどの対策が必要です。粉じんの飛散を抑えるために散水しながら作業を進めるのも、鉄筋コンクリート造の解体工事では一般的な方法です。

騒音と振動を抑える静的破砕工法

周辺環境への影響を特に抑えたい現場では、静的破砕材と呼ばれる薬剤を利用した工法が選ばれることもあります。コンクリートに穴を開け、その中に薬剤を注入して時間をかけて膨張させることで、爆薬を使わずにコンクリートを割る方法です。爆発的な音が出ないため騒音を抑えられ、振動も小さいというメリットがあります。
一方で、薬剤が効くまで時間がかかるため、工期に余裕が必要になります。また、現場条件やコストとのバランスを考えながら採用の可否を決める必要があり、どの現場でも使える万能な工法ではない点も理解しておくと良いでしょう。

内装解体とスケルトン解体の違い

解体工事と聞くと建物全体を壊すイメージが強いかもしれませんが、実際には内装だけを撤去する解体工事も多く行われています。店舗や事務所の退去時に行う原状回復工事や、リフォーム前の解体などが代表的な例です。建物の構造そのものは残すのか、それとも柱や梁だけの状態まで壊すのかによって工事の内容や工法が変わります。

原状回復としての内装解体工事

内装解体は、床や壁、天井の仕上げ材、造作家具、設備などを撤去し、入居前の状態に近づけるための工事です。建物の構造体には手を加えないため、工事範囲が限定され、工期や費用も比較的抑えやすいのが特徴です。
ただし、テナントビルの場合は管理規約によって解体範囲や作業時間帯が細かく決められていることも多く、騒音や廃材搬出のルールを守る必要があります。解体業者がこれらのルールをきちんと理解しているかどうかは、トラブルを避けるうえで重要なチェックポイントです。

構造体まで解体するスケルトン工事

スケルトン解体は、内装だけでなく間仕切り壁や天井下地などもすべて撤去し、柱や梁、床スラブが見える状態まで解体する工事です。店舗の大規模なリニューアルや用途変更を行う際に行われ、配管や配線も一度露出させてやり直すケースが多くなります。
スケルトン解体は構造体に近い部分まで手を加えるため、解体工事の中ではより高い専門性が求められます。構造の理解が不足していると、壊してはいけない部分に手を入れてしまう危険もあるため、テナントの構造種別を把握したうえで工事計画を立てられる業者かどうかが重要です。

構造別解体工法から見る業者選びのポイント

ここまで見てきたように、解体工事は建物の構造や工事範囲によって工法が大きく変わります。つまり、自分の建物の構造に合った解体工法を提案できる業者であるかどうかが、解体工事の品質を左右する大きなポイントになります。見積金額だけで業者を選ぶのではなく、構造別解体工法の考え方を押さえたうえで比較検討することが失敗しない解体工事につながります。

構造に合った実績と保有重機を確認する

業者選びの際には、まず自分の建物と同じ構造の解体実績がどれくらいあるかを確認してみましょう。木造の戸建てが中心なのか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のビル解体も多いのかによって、得意分野が変わります。加えて、どのような重機やアタッチメントを自社で保有しているかも重要なポイントです。
圧砕機や大割、小割といったアタッチメントを使い分けられる業者であれば、鉄筋コンクリート造でも効率的で安全な工事が期待できますし、狭小地用の小型重機を持っている業者であれば、住宅密集地での木造解体にも柔軟に対応できます。

見積書でチェックしたい工法と養生内容

見積書には、単に解体面積と合計金額だけでなく、どのような工法を想定しているのか、養生や廃材処分をどこまで含んでいるのかが記載されていることが望ましいです。例えば木造の場合に、どの程度を手こわしで行い、どこから重機を使うのかといった説明があると安心です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造であれば、圧砕機を使うのか静的破砕を併用するのかなど、構造別解体工法の考え方が見積書から伝わってきます。
また、近隣への影響を抑えるための養生内容も忘れずに確認しましょう。足場とシート養生の範囲や、防音対策、散水による粉じん対策などが明記されていれば、現場周辺への配慮を重視している業者と判断しやすくなります。構造別解体工法を理解したうえで、こうした項目を比較することで、自分にとって最適な解体業者を選びやすくなるでしょう。

2025.11.14