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ー解体工事の費用はどう決まる?内訳を徹底解説ー

解体費用の基本構造

解体費用は「本体工事費」「付帯工事費」「申請・管理費」「仮設・安全対策費」「廃棄物処分費」に大別できます。建物の構造、延べ床面積、立地条件、残置物の有無、アスベストの有無などが加算要素です。まずは全体像を理解し、どこに差が出やすいのかを押さえておくことが予算超過を防ぐ第一歩です。

坪単価の目安と幅

木造で坪三万円台後半〜六万円台、鉄骨造で坪五万円台〜八万円台、RC造で坪七万円台〜十万円超が目安です。ただしこの坪単価は本体工事中心の概算で、付帯工事や処分費、申請費を含めると総額は一〜二割ほど上下します。初期の比較尺度にとどめ、正式見積で内訳を確認しましょう。

構造別に費用が変わる理由

木造は重機の選定や分別が比較的容易です。鉄骨造は切断やボルト解体、搬出重量増で処分費が上がります。RC造はコンクリートのはつりと鉄筋分別に時間がかかり、騒音・振動対策も必要なため人工費と機械損料が高くなります。

主な内訳項目

内訳を理解しておくと見積書の比較が一気に楽になります。ここでは多くの現場で共通する科目を解説します。後半の小見出しでは、増減のブレが大きい部分を深掘りしますので、自分の物件に該当しそうな箇所をチェックしておきましょう。

本体工事費(解体・搬出・分別)

建物解体の中心部分です。重機回送費、オペレーター人工、手ばらし解体の人数と日数、積み込み、分別の手間、運搬車両の台数などで決まります。狭小地や前面道路幅が狭い場合は小型重機や小運搬を多用し、単価が上がります。

付帯工事費(基礎・外構・残置物・地中障害)

基礎コンクリートの撤去や土間、ブロック塀、カーポート、樹木・庭石、物置、浄化槽などが該当します。室内の残置物が多い場合は分別と搬出に時間がかかり、処分費も嵩みます。旧宅地では地中からガラや古い杭が出ることがあり、見積外の追加費用が発生しやすい項目です。

申請・届出・近隣対応費

リサイクル法に基づく事前申請、道路使用・占用、近隣挨拶や工程案内、現場掲示物の作成などにかかる費用です。書類作成の手間だけでなく、役所や警察署の手続きに要する時間も含まれます。

仮設・安全対策費(養生・足場・散水)

防塵シートや防音パネル、仮設足場、散水設備、交通誘導員などに関する費用です。粉塵や飛散を抑え、第三者災害を防ぐための投資であり、都市部や住宅密集地ほど厚めの仕様が必要になります。

廃棄物処分費と運搬費

木くず、金属、コンクリートがら、石膏ボード、プラスチック類などの品目ごとに分別し、処理場へ搬入します。マニフェスト伝票の発行や運搬距離、処理単価の地域差が総額に影響します。適正処理はトラブル回避の要であり、最安値だけで選ぶのは避けましょう。

土地条件で変わる費用

同じ延べ床面積でも、立地とアクセスで費用は大きく変わります。重機やトラックの進入が難しいほど手作業と小運搬の割合が増えて人工費が上がるためです。現地調査での指摘事項は見積の精度に直結しますので必ず共有しましょう。

接道条件・近隣環境

前面道路の幅員、電線や樹木の位置、隣家との離隔、通学路や病院の有無などは安全対策のレベルを左右します。搬出ルートに坂道や高さ制限がある場合は車両の切り替えや回送時間が増え、コスト増要因になります。

敷地内の付帯物と地中状況

測量図や古い図面が残っていない場合、地中障害のリスク評価が重要です。井戸や浄化槽、古基礎、埋設配管、庭石のサイズなどは事前申告が望ましく、写真共有が精度向上に役立ちます。

アスベスト対応の考え方

事前調査で含有の有無とレベルを判定し、必要に応じて除去・封じ込めを行います。サイディングの一部年代や吹付材、保温材、床材などに可能性があります。アスベスト関連費用は養生のグレード、作業区分、分析回数、処分単価で大きく変動するため、見積では調査費と除去費、運搬・処分費を分けて確認しましょう。

産廃処分とマニフェストの基礎

現場から排出される廃棄物は産業廃棄物として適正に処理されなければなりません。元請と処理業者の契約、マニフェストの発行と保存、処理ルートの透明性が重要です。処分費は品目別単価と重量・容量で決まり、分別精度が高いほどコストも適正化されます。見積書では品目ごとの単価と予定数量、運搬回数の記載有無を確認しましょう。

見積書チェックリスト

これから挙げる観点で各社の見積を照らし合わせると、単価だけでない妥当性が判断しやすくなります。特に付帯工事と処分費は差が出やすいので、数量根拠の説明を求めると安心です。
・本体工事と付帯工事の区分が明確か
・基礎撤去の範囲(深さ、撤去後の転圧)が書かれているか
・残置物の数量根拠と単価設定が妥当か
・アスベスト調査費・除去費・処分費が分離計上されているか
・養生仕様(防塵・防音)と足場延長、シート高さの明記があるか
・交通誘導や近隣対応の人員・日数が計上されているか
・処分費の品目別単価、運搬回数、マニフェスト費の扱いが明記されているか
・地中障害への対応方針(単価・上限・発見時の協議ルール)が定められているか
・工期と作業時間帯、騒音配慮の取り決めがあるか
・支払条件と追加費用の発生条件が具体的か

追加費用が出やすいケースと回避策

追加の多くは事前情報の不足から生じます。現地調査の段階で、図面や過去の工事写真、上下水・ガス・電気・通信の配管ルートをできるだけ共有しましょう。契約前に「想定外が出た場合の単価」と「報告・承認プロセス」を取り決めておくと、後日のトラブルを大幅に減らせます。

相見積もりの取り方と比較軸

相見積もりは二〜三社で、同じ前提条件・同じ工程で比較するのがコツです。拾い出し表や写真台帳を共通配布し、数量前提を揃えることで価格差の理由が見えやすくなります。単価の安さだけでなく、工程管理力や安全配慮、近隣対応力、処分の適正さまで総合評価しましょう。

補助金・減免の可能性

自治体によっては老朽空き家の解体補助や固定資産税の特例、道路占用料の減免などが用意されている場合があります。募集時期や対象要件は地域ごとに異なるため、早めに自治体の案内を確認し、申請に必要な書類とスケジュールを工期に織り込むことが大切です。

事前準備とスケジュール例

初回相談から完了までの流れをイメージできると、見積比較や近隣説明も進めやすくなります。以下のステップを参考に、余裕のある計画を立てましょう。
・ヒアリングと現地調査、図面やインフラ情報の収集
・アスベスト事前調査と結果説明、必要に応じ見積分離
・見積の取得(同条件で二〜三社)、数量根拠の確認
・契約と近隣挨拶、申請・届出、工程表の共有
・着工(養生→手ばらし→重機解体→分別→搬出→整地)
・中間報告と数量確認、想定外対応の協議
・完了検査、マニフェスト確認、引き渡し

まとめ

解体費用は坪単価だけでは判断できません。本体工事、付帯工事、申請・仮設、安全対策、処分費のどこで差が生まれるかを理解し、数量根拠のある見積を比較することが重要です。想定外が起きた時の単価と手続きも取り決め、近隣配慮と適正処分を重視すれば、無理や無駄のない解体が実現します。

2025.10.10